本日は、『親族の借地関係②』についてを、お話させていただきます。

税務上で『建物所有を目的とする土地の使用貸借』が認められる事となった経緯としましては、従来は『借地権なくして建物なし』というように、建物と借地権の両者をいわば糊付けした取扱いにしていました。むろん『糊付け』された土地に関しては相続発生時には底地評価となります。
 
しかし、ある裁判で『糊付け論』が否定されました。理由は『借地権とは,建物所有を目的とする土地の賃借権等である。賃料を払っていない使用貸借における土地使用では、借地権が発生するはずがない』というものです。
 
この判決以降、税務上で『建物所有を目的とする土地の使用貸借』が認められました。その後は、親の土地に子供が家を建てることは、何の問題もなくなったのです。もっとも、将来における相続発生時には、当然この土地の評価は更地評価(貸家建付地の減額も不可)となります。
 
使用貸借に供されている土地は事業用(賃貸用)でもなければ、(親の)居住用でもないものとされます。理屈の上では確かにその取りなのですが、これにより事業用・居住用不動産に関する一切の特例(譲渡所得や相続税)から排除されてしまうのです。さらに細かい点(相続税評価における評価単位等)に至るまで、この考え方が多岐にわたって浸透しています。

したがって、税務上の判断においては、土地の利用関係が賃貸借なのか使用貸借なのかを明らかにすることが先決となります。同時に親族間における賃借では『賃料(家賃や地代)を払うべきかどうか』についても、しっかりした判断が求められます。単に支払能力の有無等ではなく、税務上の取扱いの違いをしっかり見据える必要があるのです。
 
一つの例を示しましょう。
 
親の土地に子供が家を建てる場合です。通常は土地は使用貸借となります。しかし親の収入が少ないような場合には、生活費の援助を兼ねた形で、相応の地代を払おうとするケースもあるでしょう。
 
しかし、この場合は決して地代を払ってはなりません。地代を払えば、土地の賃貸借となります。一気に借地権の贈与とみなされてしまうのです。いつ課税されてもおかしくない状況になってしまうわけです。このような場合には、地代としてではなく、親の扶養としてお金を渡さなければなりません(なお、その土地の固定資産税額程度のものであれば、地代とはみなされません)。

以上、『親族の借地関係②』についてを、お話させていただきました。

次回は、『親族の借地関係③』についてを、お話させていただきます。



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Posted by 荒木財産FP at 09:09│Comments(0)相続情報
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