本日は、『贈与税①』についてお話させていただきます。

1・贈与税とは

(1)相続税の補完税
贈与税は、相続税を補完するための税として設けられたものです、すなわち贈与税がなかったならば、あらかじめ生前に子供達に財産を贈与して将来の相続財産を減らすことにより、相続税の負担を軽減することができてしまうからです。要するに、贈与税は相続税を徴収するための手段なのです。

むろんこの点だけではなく、贈与を受けた者(受贈者)の担税力の増加に着目しての課税、という側面もあります。したがって、ともすると『贈与所得』といった所得税の対象にもなりうるわけですが、贈与税の課税対象とされていることから、所得税の課税対象外となっているわけです。(二重課税の排除)。
 
しかし、基本はあくまで相続税の補完税です。そもそも、贈与税は相続税法の一部として定められています。贈与税法という法律はないのです。(この点を称してよく『1税法2税目』といいます。ひとつの税法に2種類の税が定められている、という意味です)。したがって、税の扇の要である税率をはじめ、多くが相続税との関連で規定されています。贈与財産の評価も相続税評価で行います。
 
贈与税は、個人が個人から贈与を受けた場合に課される税です。したがって、個人が法人から贈与を受けた場合には、贈与税の対象外です。むろん非課税というわけではなく、所得税(一時所得)が課されます。理由は、贈与する法人は相続税と無縁の存在であり、これを補完する必要がないからです。
 
一方、法人が贈与を受けた場合には、法人税(受贈益)が課されます。ただし、一般に法人税が課されていない人格のない社団(PTA他)等が個人から贈与を受けた場合には、その社団等は個人とみなされて贈与税が課されます。

(2)贈与とは
 
贈与税は、贈与によって取得した財産に対して課税されます。この場合贈与とは、民法上の贈与をいいます。すなわち、当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与えるという意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約をいうのです。(民法549条)
 
しかし、贈与税は単に民法上の贈与のみならず、実質的に贈与と同様の効果を有する行為についても、みなし贈与として課税対象に含めています。(みなし贈与については、次回、お話させていただきます。)
 
ところで、本来の贈与であっても、その贈与の事実の把握には困難が伴います。そもそも贈与であるのかそうでないのか、その贈与はいつ行われたか、が定かでなかったり、贈与税を免れるために外見上は贈与でない体裁をとっていたり、と課税実務上その判定が難しいのです。しかし、これらに対し手をこまねいてはいられません。まずは外観を重視して課税を行っていくのです。
 
たとえば、対価の授受がないまま不動産や株式等の名義が変更された場合には、原則として贈与があったものと取扱います。当事者から、『いや単に名義を移しただけであって、真の権利者は元の名義人であり、贈与はしていない』という理屈の下に、贈与税を免れようとする主張がなされる可能性がありましょう。。しかしこのような場合には、課税実務上、名義変更という外観によって贈与を認定するのです。
 
ただし中には、納税者のこの主張が正しい場合もあるでしょう。その場合には、納税者が税務署に対して贈与ではない』旨の説得や立証を行う必要があります。税務署がこれに納得すれば課税は行われないこととなるわけです。

以上、『贈与税①』についてお話させていただきました。

次回は、『贈与税②』についてお話させていただきます。 

荒木不動産コンサルティングFP事務所は、相続対策やライフプランの作成、生命保険の見直し、住宅ローン等のご相談の他、土地活用や不動産売却等の不動産コンサルティングのご相談も承っております。

ご相談希望のかたは、まずは、メールか電話でご連絡ください。

初回は、無料で、ご相談内容の概要をお聞かせいただきます。

無料相談後に、その後のご相談内容やご提案内容、お見積金額についてお話させていただきます。

その業務内容とお見積金額でご検討いただき、ご納得いただけましたら業務委託契約書を締結させていただきます。

業務委託契約後締結前に、費用は発生しませんので、ご安心ください。


なお、生命保険コンサルティングにつきましては、『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービシーズ』に生命保険募集人として所属しています。
『FPアソシエツ&ファイナンシャルサービーシーズ』は、FPとしての視点で、事業承継継対策や財務体質改善、相続対策、ライフプランにおける保険の見直し等、あらゆる問題解決のための保険活用のご提案をさせていただいております。
そのFPの視点の経験を活かした生命保険活用のコンサルティングをご提供させていただきます。

電話:029-851-6334  メール:info@arakifp.com  HP:http://www.arakifp.com/(相続支援あらき検索




同じカテゴリー(相続情報)の記事
 遺産分割と相続税の土地評価の違いに注意・・・ (2014-10-03 09:06)
 相続対策…備えあれば憂いなし・・・当たり前のことを当たり前にしておきましょう・・・ (2014-08-25 10:06)
 相続増税まであと5カ月お盆で見直す相続対策 (2014-08-13 11:27)
 H26年路線価発表、来年からはいよいよ相続増税時代に・・・ (2014-07-01 17:08)
 争族(遺産分割、遺留分減殺請求)は不動産の価値の認識の相違から始まる・・・ (2014-06-28 15:48)
 相続増税と担税力について・・・ (2014-06-14 10:49)
Posted by 荒木財産FP at 13:32│Comments(0)相続情報
コメントフォーム
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。
QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
荒木財産FP
荒木財産FP
荒木不動産コンサルティングFP事務所
代表 荒木達也
電話029-851-6334 E-mail: info@arakifp.com
HP:相続支援あらき検索 http://www.arakifp.com/