本日は、『相続財産の範囲と評価③』についてを、お話させていただきます。

1.退職金

①労働者が労働契約の継続中に退職し、退職金を受領してから死亡した場合には、通常の相続財産として扱えば足ります。

問題となりますのは、労働者が労働契約の継続中に死亡し、退職金が支給される、いわゆる死亡退職金の場合です。

すなわち、死亡退職金は被相続人の死亡を契機として発生するところから、相続財産に包含されるかどうかが問題となります。

.受給権者が法律条例等によって定められている場合

この場合、死亡退職金も相続財産に含まれ、受給権者の指定は、あくまでも受取人代表者を定めたにすぎないとする見解もあります。

しかし、判例は、受給権者が法律等で定まっている場合、その物固有の権利であり、相続財産には包含されないとしています。

さらに、私企業の死亡退職金につき、退職金規定(内規)により受給権者が定まっている場合にも、その定められた者固有の権利であって、相続財産に包含されないとしています。

.退職金規定に受給権者が定まっていない場合

この場合は極めて問題であり、学説・判例ともまだ定説は無いようです。

ただ、規定がない場合でも、理事会の決議により配偶者に支給された場合には、受給権者固有の権利であるとする判例はあります。

通常、死亡退職金については法律等で受給権者が定められていますが、これは遺族の生活保護として定められているものです。この点からしますと、規定がなくても、相続財産とするのではなく、生計を共にしていた遺族固有の権利と解するのが、本来の趣旨にかうのではないかと思われます。

この点、受給権者が定まっていない以上は、相続人が取得するべきであるという見解もあります。

②次に、死亡退職金について受給権者固有の権利であると考えた場合に、持戻しが認められるべきかが問題となります。

この点につきましては、肯定する審判例と否定する審判例があります。

個々の事案によって、共同相続人間と受給権利者との生活保障の調和の観点から考えるべきと考えます。

2.遺族年金

これは、死亡退職金と同様に受給権者の固有の権利と考えられます。

そして、持戻しも認めるべきでないと考えらるようです。遺族年金は、死亡退職金よりもさらに受給権者の最低の生活保障という趣旨が強いものでありますから、上記のように考えるべきのようです。

以上、『相続財産の範囲と評価③』についてを、お話させていただきました。

次回は、『相続財産の範囲と評価④』についてを、お話させていただきます。



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Posted by 荒木財産FP at 05:45│Comments(0)相続情報
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