2013年02月26日
相続の事が少しずつ分かるいいお話44 『相続財産の範囲と評価②』
本日は、『相続財産の範囲と評価②』について、お話させていただきます。
1.賃借権
①賃借権も財産上の権利である以上、相続財産に含まれます。
②賃借権の相続における問題点は、借家人が死亡した場合に、この賃借人と同居していなかった相続人がこの賃借権を相続し、この結果、借家人と同居していた内縁の配偶者が、住居を奪われるのではないかという点です。
この点に関しましては、判例は、あくまでも賃借権は相続人に帰属することを認めたうえで、内縁の配偶者などの同居人は、相続人が取得した借家権を援用し居住の継続を主張しうるとという見解に立っています。
実務上は、判例理論が定着していますが、この見解は、居住の利益は同居人に、賃借権に伴う権利義務は相続人に帰属することとなりますので、若干の問題は残ることとなりえます。
2.損害賠償請求権
①被相続人の有体財産についての損害賠償請求権は、財産上の権利であり、これが相続の対象となることは明らかです。
②これに対し、生命侵害による損害賠償請求権については、民法が被相続人の一身専属権を相続の対象からはずしていることから問題となります。
特に、生命侵害に伴う慰謝料請求につきましては、精神的苦痛が極めて主観的なものであることから、一身専属権として相続の対象とならないのではないかとも考えられます。
過去の判例では、最高裁の慰謝料請求権も相続の対象になるとしたものがあります。
3.生命保険金
①生命保険金請求権は、その取得が、死亡の原因とする点で相続と類似するが、保険契約で受取人を個別的に定めることができるという点で相続人が規定されている相続の場合と異なります。
②そこで、以下のとおり場合を分けて検討します。
.保険金の受取人として特定人(妻あるいは夫)が指定されている場合
この場合、生命保険契約は第三者のためにする契約であるから、その契約の効果として、受取人が生命保険契約請求権を自分の固有の権利として取得します。
したがって、この場合には相続財産に包含されないこととなります。
.保険金の受取人を単に『相続人』とした場合
この点につきましては、相続財産に含まれると考える見解もありますが、この場合の表示は、保険契約者の相続人たるべき個人を表示するものにすぎず、相続財産に包含されないと考えるべきです。
.このように、生命保険金請求権を生命保険金受取人の固有の権利であるとすると、保険金受取人は、これとは別個に、他の共同相続人と共に相続財産からも遺産分割を受けることとなります。こう解すると、生命保険金が高額になっている現在の状況から、生命保険金の受取人となった相続人があまりにも有利となり、相続人間の衡平を欠くこととなります。
これを、調整する方法が、持ち戻しであり、保険金を持ち戻しとした審判例もあります。
また、持ち戻しの対象とされたものは、当然遺留分算定の基礎財産に算入され、減殺の対象となります。
以上、『相続財産の範囲と評価②』についてを、お話させていただきました。
次回は、『相続財産の範囲と評価③』についてを、お話させていただきます。
相続財産の詳細や価格、遺産分割についてお聞きになりたいことがありましたら、お気軽に電話かメールもしくはHP上の無料相談のページから、ご連絡ください。
初回のご相談は、無料となっております。
初回のご相談以降のご相談やご提案の業務が発生するときには、業務内容及びお見積金額をご提示し、ご了承いただけましたら業務委託契約を締結させていただきます。
業務委託契約のご締結後に有料の業務に取り掛からさせて頂くこととなりますのでご安心ください。
電話:029-851-6334 メール:info@arakifp.com HP:相続支援あらき http://www.arakifp.com
1.賃借権
①賃借権も財産上の権利である以上、相続財産に含まれます。
②賃借権の相続における問題点は、借家人が死亡した場合に、この賃借人と同居していなかった相続人がこの賃借権を相続し、この結果、借家人と同居していた内縁の配偶者が、住居を奪われるのではないかという点です。
この点に関しましては、判例は、あくまでも賃借権は相続人に帰属することを認めたうえで、内縁の配偶者などの同居人は、相続人が取得した借家権を援用し居住の継続を主張しうるとという見解に立っています。
実務上は、判例理論が定着していますが、この見解は、居住の利益は同居人に、賃借権に伴う権利義務は相続人に帰属することとなりますので、若干の問題は残ることとなりえます。
2.損害賠償請求権
①被相続人の有体財産についての損害賠償請求権は、財産上の権利であり、これが相続の対象となることは明らかです。
②これに対し、生命侵害による損害賠償請求権については、民法が被相続人の一身専属権を相続の対象からはずしていることから問題となります。
特に、生命侵害に伴う慰謝料請求につきましては、精神的苦痛が極めて主観的なものであることから、一身専属権として相続の対象とならないのではないかとも考えられます。
過去の判例では、最高裁の慰謝料請求権も相続の対象になるとしたものがあります。
3.生命保険金
①生命保険金請求権は、その取得が、死亡の原因とする点で相続と類似するが、保険契約で受取人を個別的に定めることができるという点で相続人が規定されている相続の場合と異なります。
②そこで、以下のとおり場合を分けて検討します。
.保険金の受取人として特定人(妻あるいは夫)が指定されている場合
この場合、生命保険契約は第三者のためにする契約であるから、その契約の効果として、受取人が生命保険契約請求権を自分の固有の権利として取得します。
したがって、この場合には相続財産に包含されないこととなります。
.保険金の受取人を単に『相続人』とした場合
この点につきましては、相続財産に含まれると考える見解もありますが、この場合の表示は、保険契約者の相続人たるべき個人を表示するものにすぎず、相続財産に包含されないと考えるべきです。
.このように、生命保険金請求権を生命保険金受取人の固有の権利であるとすると、保険金受取人は、これとは別個に、他の共同相続人と共に相続財産からも遺産分割を受けることとなります。こう解すると、生命保険金が高額になっている現在の状況から、生命保険金の受取人となった相続人があまりにも有利となり、相続人間の衡平を欠くこととなります。
これを、調整する方法が、持ち戻しであり、保険金を持ち戻しとした審判例もあります。
また、持ち戻しの対象とされたものは、当然遺留分算定の基礎財産に算入され、減殺の対象となります。
以上、『相続財産の範囲と評価②』についてを、お話させていただきました。
次回は、『相続財産の範囲と評価③』についてを、お話させていただきます。
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Posted by 荒木財産FP at 09:35│Comments(0)│相続情報
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